8月27日に朝日新聞社で開催された「合理的配慮ワークショップ研修」に参加させていただきました。
4名の視覚障害を持った方々をお招きし、意見交換や体験を通して合理的配慮やアクセシビリティについて理解を深める内容になっています。
ワークショップ研修の概要
- 名称:合理的配慮ワークショップ研修
- 日時:2024年8月27日(火) 16時~18時
- 会場:朝日新聞社 読者ホール(東京都中央区築地5丁目3−2)
- 主催:PLAYWORKS株式会社
目的
視覚障害者との共創を通じて「合理的配慮」「アクセシビリティ」への理解を深める。
プログラム
- お菓子当てゲーム
- 自己紹介
- 合理的配慮とは?
- 視覚障害体験(歩行・ロービジョン・音声ガイド)
- 振り返り
ロービジョン体験キットとは?
視覚障害者のうち光を感じない方(全盲)は全体の1割ほどで、残りの9割は弱視・ロービジョンの方たちです。
ロービジョン体験キットはコントラスト低下、視野狭窄、中心暗転を疑似体験できるものとして制作されました。
今回のワークショップではロービジョン体験キットとアイマスクを利用して、4名の視覚障害を持った方と一緒に様々な体験をしました。
ワークショップ研修の内容
お菓子当てゲーム
テーブルによってお菓子は違ったようですが、目隠しをした状態で2つのお菓子の商品名と味を当てるゲームをしました。(僕のテーブルの正解はたまごボーロとリンゴ味のアンパンマングミでした。)
グミの方は「ぶどうの匂いがする」「コーラの匂いがする」「味はぶどう味じゃない?」など味を特定できず、形においてもデコボコしていることしかわかりませんでした。
普段視覚から得られる情報がどれだけ大きいかを考えさせられるゲームでした。
自己紹介
アイマスクをして自己紹介をしていきました。
視覚情報が何もないため、音の方角や距離感を鋭敏に感じ取るような感覚がありました。
合理的配慮とは?
合理的配慮とは主に以下2項目を意味します。
- 障害のある方から何らかの対応を必要としているとの意思を伝えられた時に、「負担が重すぎない範囲」で対応すること。
- また、負担が重く対応できない場合にはなぜ負担が重いのか理由を説明し、別のやり方を提案することも含め、話し合い、理解を得るように努めること。
また、「合理的配慮」は障害者差別解消法で定義されています。
- 国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環である。
- すべての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重しあいながら共生する社会の実現を目指すこと。
参考:内閣府ホームページ 障害を理由とする差別の解消の推進
視覚障害者の4名の方々に「メディアに求める合理的配慮」についてお話しいただき、求めることとしていくつか挙げられました。
- 簡単にアクセスできること
- 視覚障害者でも読めること
- 信憑性がある正確な情報を素早くキャッチできること
- 得たい情報にたどりつくまでの時間の短縮(広告などの情報が多い)
- 今自分がサイト上でどこにいるのか見失わないようにすること
- 図や写真に適切な代替テキストをあてること
このお話を聴いて、非常に重要かつ現実的な課題が挙げられていると感じ、
視覚障害者の方々が、実際にインターネットサービスを利用して感じた課題や意見を今後も積極的に開発に取り入れることでより使いやすい環境が整い、情報格差が縮まると思いました。
(4名のお話を聴きながら、ロービジョンメガネを着用してメモを取る様子)
歩行体験
アイマスクやロービジョンメガネを着用して会場内を一周したり、階段を上ったり、トイレまで歩いたりしました。
アイマスクを着用した場合もガイド役の方の案内で歩いていくのですが、つまづいて転んでしまうのではないかと常に考えてしまい、一歩を踏み出すのがとても怖かったです。
スマホの音声ガイド
視覚障害者の方がどのように普段スマートフォンを利用しているのかを拝見させていただきました。
「合理的配慮とは?」のセクションでお話しいただいた、「得たい情報にたどりつくまでが長いこと」や「図や写真に適切な代替テキストをあてられていないこと」などを実際に目の当たりにしました。
印象に残っているのが、「時間をかければたいていのことはできたり情報を得られたりするが、達成するまでの時間を短縮できたら良いな」というお話でした。
普段のウェブ閲覧でもそうですが、災害時の情報収集の点でも目的達成時間の短縮は重要だと感じました。
まとめ
今回のワークショップ研修を通じて、合理的配慮やアクセシビリティの重要さを改めて理解することができました。
また、視覚障害を持つ方との意見交換を通し、その視点に立って考えることで改善点が多く見えてきました。
今後、学んだことを生かしより多くの方が快適にインターネットを利用できるような環境づくりに貢献していきたいと思います。
貴重な機会をいただきありがとうございました。