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2018年08月10日

フォントと情報のユニバーサルデザイン

7月下旬、東京ビッグサイトで行われた IGAS 2018:国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展に足を運びました。今回はその中で行われていた、株式会社モリサワのブース内セミナー「多様性へのメッセージ〜 2018 年ユニバーサルデザイン書体のさらなる広がりと活用〜」についての話を聴講してきました。

ユニバーサルデザインフォント(以下 UD フォント)とは

2006 年に某メーカーとフォントメーカーにより、リモコンを使用する際に高齢者が操作の間違いを起こさないフォント、として開発されたのが一番最初の UD フォントとのこと。

モリサワでは、その3年後の2009年に「何も調整せずに見ることができる」ことを前提とした、より多くの人にとって読みやすく設計された UD フォントを発表しました。
「文字のかたちがわかりやすいこと」「文章が読みやすいこと」「読みまちがえにくいこと」の3つのコンセプトから生まれました。
例えば、濁点・半濁点を大きくして区別をつけやすくしたり、直感的に認識しやすいように手書きに近い形になったりしています。1 文字 1 文字細かく調整されているため、「木」偏の漢字を重ねてみると、ぴったりではなく少しずつずれていたりと、工夫を凝らしていることがわかります。

そもそもユニバーサルデザインとは?

ユニバーサルデザインとバリアフリーは同じではありません。
「バリアフリー」は障害者や高齢者など特定の人たちを対象していますが、「ユニバーサルデザイン」は、特定の誰かではなくすべての人を対象としています。

バリアフリーとユニバーサルデザインをマーケットとしてとらえると、規模がまったく異なると聞いて当然のことながら「はっ」としました。
ユニバーサルデザインで有名なものといえば、もともと医療器具、福祉器具として使われていたトイレのウォシュレットです。某日本企業が海外から持ち帰って誰でも使えるものにしたため、日本ではウォシュレット付きのトイレは一般的なものとなりました。

情報のユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザインというとプロダクトのイメージがありますが、インターネットの普及でいろいろなデバイスで情報を得るようになった最近では「情報のユニバーサルデザイン」の重要性が高くなってきています。
2020年の東京五輪もあり、web アクセシビリティ同様に需要が高まってきているようです。

UD フォントは単に読みやすさだけではなく光って見えにくい場合の対策もとっているそうです。
大学との共同研究で、環境や照明などすべて同じ状態にして iPad で左右比較する検証を行っています。実際に会場のスクリーンでその検証を体験しました。少しずつ異なるフォントを左右対称に表示させて、「読みやすい」「やや読みやすい」などパッと見て判断する、ということを繰り返します。実際は1人につき2時間近くも検証をするそうです。

ちなみに、やはり明朝体よりもゴシック体の方が読みやすさや視認性がよい、という結果が出るようです。
現在はアラビア語なども含めた151の言語のUDフォント対応を進めているそうです。

デジタル教科書も2020年から併用へ

現在 Window 10で採用されているフォント「 UD 教科書体」はディスレクシア(文字の読み書きが困難な障害)の子供が何も調整せずに読むことができたと言われているそうです。以前の教科書で見られた明朝の筆書きではなく、硬筆やサインペンを意識、太さの強弱を抑えいるなどの配慮がされています。

私の子供が小学生になって勉強するころには、デジタル教科書が一般的になっているのでしょうか?教材が変わるということは、勉強の仕方も今後変わっていきそうですね。

2018年6月に勧告された WCAG 2.1の中でもタッチデバイスへの対応も追加されました。教科書など、より身近なものがデジタル化することにより、「アクセシビリティ配慮」といわなくても誰もが難なく情報を得ること、これが当たり前になる日が少しでも早くくるとよいなと思いました。


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