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2017年06月01日

「アクセシビリティの祭典2017」参加レポート

写真:「アクセシビリティの祭典2017」イベント風景

5月18日、神戸で開催された「アクセシビリティの祭典2017」に参加しました。このイベントは、今年で3回目を迎えるとのことで、様々な観点によるセッションや展示を通じ、アクセシビリティについての最新動向や事例を知ることができ、貴重な機会でした。主催者側から、参加者は100名以上とのアナウンスがあり、当日は自治体、企業、制作会社、障害者支援関係者、障害当事者など、多様な立場の人が一堂に会し、活気がありました。

私は4月に入社した新人で、大学で社会福祉を専攻していたことと、現在はPowerCMSクラウドのチームに所属していることから、福祉とITというキーワードに関心があります。今回、社内の方にお知らせいただいて、このイベントに初めて参加しました。報告が遅くなりましたが、以下当日のレポートです。

イベント概要

  • 日時:2017年5月18日(木) 9時30分~18時30分 (開催時間内の入退場自由)
  • 会場:ステラコート (兵庫県神戸市中央区浜辺通5-1-14 神戸商工貿易センタービル 24階)
  • 主催:アクセシビリティの祭典実行委員会 (事務局:NPO法人アイ・コラボレーション神戸
  • 参加費:無料

聴講セッション「企業がアクセシビリティに取り組む理由」

写真:セッション中 (弊社代表取締役の野田)

本セッションでは、協賛企業5社によるアクセシビリティへの取り組み紹介があり、弊社からは代表取締役の野田が発表しました。

弊社の発表概要:アクセシビリティに取り組む理由は「楽しいから」

  • テクノロジーの進化に対する、純粋な技術的好奇心
  • ツールはアンプのようなもの、作ったものがより大きな影響力を持つことができる
  • ソフトウェア、webサイト、何でも「作ること」は楽しい
  • 作り手の想像を超えた使い方をされているのが興味深い
  • 世の中をテクノロジーで良くしていくのが楽しい

アルファサード株式会社は、「アクセシビリティをやろうと思って会社を作った」経緯から、理念が社名に込められており、設立当初よりwebアクセシビリティに取り組んでまいりました。Webアクセシビリティに関する制作や問題解決の実績が多数あり、技術力を高めております。2015年には、W3C(World Wide Web Consortium)のメンバーとなりました。今後も、「ソフトウェア+アクセシビリティ」の活動を通じて、「世界のwebを5%良くする」ビジョンの実現に向けて進んでまいります。

発表資料:「アルファサード株式会社はなぜ アクセシビリティに取り組むのか

本セッションに登壇された企業様の発表資料

展示ブース

写真:ロボットスーツ 写真:VR体験

会場には、「福祉×機能拡張」をテーマに、支援機器の展示ブースが設けられていました。ロボットスーツや視線入力意思伝達装置、脳波で操作するヘリコプターなど、興味深く拝見しました。

特に印象に残ったものは「VR(バーチャルリアリティ)」で、150年前の兵庫県の県知事執務室を見てまわる、仮想現実体験をしました。VRゴーグルを装着すると、目の前に和室が現れ、別世界の広がりを感じました。反面、現実の視聴覚情報は遮られるため、周囲の状況がわからず、一歩踏み出すのも恐る恐るとなりました。制限されるこの感覚は、アイマスクを使用して歩くキャップハンディ体験を思い出しました。

現在は、視覚・聴覚を利用するVRが主流ですが、セッションでは「今後は、五感に働きかけるVRも活用されていく」というお話がありました。この新しいVR技術が登場すると、特定の感覚器に依存せず、様々な感覚器を使えるため、より多くの方が幅広く利用できるようになります。

体験とセッションの内容から、今後は疑似体験の質が高まって、感覚の違いを伝え合えるようになると思いました。ストレス、病気、障害など、他者の様々な体験について、感覚を通して直接的に理解しやすくなり、感情の共有にもつながると思いました。

イベントを通じて学んだこと

写真:セッション中 (伊原 力也 氏)

アクセシビリティとは、「誰もが、必要とする情報に支障なくたどり着けること」の度合い(利用のしやすさ)を表す言葉です。ISO 9241-20では「様々な能力を持つ幅広い層の人々に対する、製品、サービス、環境または施設のユーザビリティ」と定義されています。

私は、アクセシビリティに興味があるものの、イベントに参加するまで、全体的に漠然としている状態でした。物事をあいまいにしか知らないとき、難しそうな感じがしたり、よくわからない印象を受けます。しかし今回、情報をwebに載せること自体もアクセシビリティ向上になると知り、身近に最初の一歩があると感じました。

そして、アクセシビリティに興味を持ったとき、まず何から意識すると良いのかという視点で、以下の3つについて学びました。

  • 必要とされている情報を、webに載せる
  • 情報は、構造を持ったテキスト形式にする
  • あらかじめ、選択肢を用意する

必要とされている情報を、webに載せる

セッション「あなたの価値を高めるWebアクセシビリティ」で伺った「Webに情報があるだけで、圧倒的にアクセシブル」というお話は、利用者として実感できる内容でした。当日、視覚障害者の方がネット活用例を挙げておられ、この点を具体的に想像しやすかったです。「毎週火曜日、webサイトでお菓子の新商品情報をチェックして印刷し、コンビニに行って購入します」とのことでした。

Webに情報が掲載されることにより、いつでもどこでもアクセスが可能となります。その意味では、webに関わる人は既にアクセシビリティに関わっている、ととらえることもできるとのことでした。

今できているかどうかを気にしすぎるのではなく、できるところから少しずつ、継続して取り組むことが大切ということを学びました。

情報は、構造を持ったテキスト形式にする

「アクセシビリティ=マシンリーダブル」という表現は、イベントで繰り返し登場しました。これは「Webアクセシビリティの根幹は、マシンリーダブル(機械可読)なテキスト」ということを意味します。「マシンリーダブルにする」とは、情報をプログラムが解釈できるように表現を工夫するアプローチです。マシンの例としては、次のようなものが挙げられます。

  • サーチエンジンのクローラー
  • スクリーンリーダー
  • 音声アシスタント (例:Siri、Cortana、Alexa)
  • AI(人工知能)
  • ロボット

現在、人間だけでなく、マシンも日常的にweb検索を利用しているため、情報の表現を工夫することで、活用の幅が広がります。そのためには、ユーザー(人間やマシン)の大多数が入出力可能である、テキスト形式を用います。テキスト化が最初の一歩であり、これこそが人間とマシンの架け橋ということでした。

「ユーザーにわかりやすく、構造を持ったテキスト」を前提として、一人ひとりが表現の工夫を心がけると、ユーザー同士(人間と人間、人間とマシン)がより良く情報交換できる世界となります。情報を構造化されたテキストにすることで加工が可能になるという説明は、電子書籍や機械翻訳の例が思い浮かび、利便性を理解しやすかったです。

あらかじめ、選択肢を用意する

Webに情報を載せるとき、必要とされている情報を洗い出したり、構造的なテキスト情報とするためには、工程の早い段階から考えておく必要があります。アクセシビリティは、制作後のテストではなく、設計段階から考慮した方が良いと学びました。

HTML、CSS、JavaScriptなど、web技術の設計の中心思想に常にあるのは「あらゆる人が使える仕組み」であることと伺いました。制作に使用するHTML自体が構造化言語であり、その仕様に沿って書くことでアクセシブルな文書を作成できます。構造化とは、具体的にはタグによって見出しや本文を指定したり、画像に代替テキストを指定したりといったことです。

アクセシビリティにおいては「すべての人が、あらゆる状況で、情報を利用できるようにすること」が重要なアイディアであり、それはwebの本質的な姿とのことでした。

また、PC、タブレット、スマホなど、デバイスに応じて表示する「マルチデバイス対応」も、アクセシビリティの向上に寄与するというお話があり、状況をイメージしやすかったです。記述形式を一つにまとめた上で、表示形式を個別に分けていくことで、多様なユーザーに対応できます。多様性をあらかじめ考慮して情報提供することで、結果的に複数のルートを確保し、選択肢を用意できるとわかりました。

まとめ

イベントを通して、アクセシビリティは特別な対応ではなく、情報通信の普遍的な基盤であるとわかりました。

私は、アクセシビリティは「手すり」のような、さりげなく寄り添う機構だと思いました。アクセシビリティと手すりは、特徴や課題に多くの共通点があります。

  • 高齢者・障害者のためと思われがちだが、あらゆる人のための仕組み
  • あとから付け足す対応となりがちだが、本来、最初から設計に組み込まれるべき、構造要素
  • あくまでもツールであり、その先の目的達成のために存在する
  • 一つの要素ですべての人をカバーするには限度があり、複数の手段を用いる
  • 法律が施行されて基準化し、公共性の高いところから措置が義務付けられる
  • 考え方を理解しないまま手法のみ取り入れられることがあり、形だけの誤った事例が散見される

公共の場における手すりの整備が進み、その利用者としてすぐに思いつくのは、高齢者、障害者、妊婦、子どもです。しかし、日頃利用しない人も、手すりを使う機会はあります。病気やケガはもちろん、荷物が重いとき、ちょっと疲れたとき、酔ってふらつくとき、そこに手すりがあると助かります。使う理由、目的、頻度はそれぞれ違いますが、多くの人にとって役立つ存在です。

手すりに限らず、エレベーターやトイレ、案内表示など、建築分野ではバリアフリーからユニバーサルデザインへと考え方が変遷しています。情報通信分野にJISが制定され、公共サイトにおけるwebアクセシビリティの確保が求められていることは、同じ流れであると考えます。常に全員が使うものではないけれど「いつでも」「誰でも」使えるように、選択肢として用意されている環境が必要です。「階段には手すり」のように、「情報にはアクセシビリティ」が今後当たり前になっていくと思いました。

アルファサードのwebアクセシビリティの取り組み

弊社では、webアクセシビリティ向上への取り組みとして、無償ツールの提供の他、「JIS X 8341-3」への準拠を支援する「PowerCMS 8341」の開発・提供、各種サポートサービスを行っています。評価版もございますので、実際にお試しの上、安心してお使いいただけます。お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

Webアクセシビリティに関する弊社製品・サービス

PowerCMS 8341
「JIS X 8341-3:2016」準拠支援ツール

導入事例:公益財団法人 長寿科学振興財団様 「Webアクセシビリティへの対応と、PowerCMSクラウドの使いやすさ、運用への安心感が選定の決め手となりました。」

自治体向けクラウド版CMS
PowerCMS 8341」が付属し、「JIS X 8341-3:2016」に準拠したテーマを設定済みの、自治体向けのコンテンツ管理システム
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「JIS X 8341-3:2010」(WCAG 2.0)の達成基準に基づき、画像の背景色と前景色のコントラストを確認するソフトウェア
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